自治会・町内会には加入した方がよい?元自治会長として答える!

  • 2020年3月1日
  • 2020年5月20日
  • 暮らす
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みなさんのお住まいの地域には自治会(町内会)はあるでしょうか?
今まで加入をすすめめられた人、また、すでに加入した人も多いと思います。

「老後を考えても、自治会には入っておいた方がよいのかな…?」
「自治会に入っておかないと、どんな不都合なことがあるのかな…?」

そんな思いを持ったことがあるかもしれません。


実は、以前住んでいたマンションで、私は1年間だけ自治会長を務めていたことがあります。
そのような事情もあり、普通の人より自治会についてはかなり詳しいと自負しています。

そこで、今回は自治会に加入するメリット、デメリットを比較して、どちらがよいのかを考えてみたいと思います。

 

【まず結論】自力でやっていける人は自治会(町内会)に加入しなくてOK

自治会とは、もともと任意の団体なので、加入は各人の自由です。

自治会は「地域のつながり」そのものであり、言ってみれば「人とのつながり」。

より住みやすい地域にしていくために、住民同士が協力し合うことが目的となるので、加入イコール「人付き合い」そのものになります。

それをどうとらえるか次第ですが、特に自治会加入にメリットを感じないのであれば、加入しなくても問題ありません。

もちろん、「人付き合い」をメリット有無で判断するのは適切ではないとの考えもあるでしょう。

ただ、いったん加入すると退会しにくい場合もあるので、個人的には急いで決めないことをおすすめします。

(後述する理由で、役所は加入をすすめることが多いのですが)

 

ちなみに、私はマンション住まいだった時に1年だけ自治会長まで務めましたが、現在の戸建てに転居してからは自治会に加入していません。

一度、役員の方が勧誘に訪問されましたが、やんわりとお断りしました。

老年に入ってから心境が変わる可能性もゼロではありませんが、おそらくもう加入することはないと思います。

 

自治会(町内会)加入のメリット・デメリット比較

ここで、自治会に加入する場合のメリット、デメリットを挙げてみます。各人で判断する参考になればと思います。

メリット

地域の人的ネットワークを広げられる

すでに述べた通り、自治会とは言い換えると「地域の人とのつながり」ですから、人的ネットワークそのものです。

自治会・町内会では子供会も一緒に運営していることも多く、親同士、子供同士のつながりも生まれます。
お祭りや餅つきなどで、子どもたちが楽しそうにしているのを見るのはうれしいものですよね。

また、役所や団体の色々な担当者と接する機会があり、意外な情報が入ってきたりします。

自治会を通すことで、役所などに話を聞いてもらいやすい

実際、私が自治会長だった時、民生委員の方と協力して自治会から役所や警察署に要望書を出し、マンション前に横断歩道を設定してもらったことがあります。

子どもたちが通学する際の安全確保のためです。

このように、自治会を通すことで、個人で働きかけるよりも話が通りやすくなる面はあります。

 

災害時への備えで安心できる

各自治会では、ある程度災害に備えて備蓄や防災品を準備していることが一般的です。
よく町の中で、公園や自治会館の敷地内に備蓄倉庫を見かけることがあるでしょう。

防災備蓄のほか、災害時の訓練(避難や炊き出しなど)を定期的に行うなど、個人では難しいことも自治会では対応できることがあります。

また、行政からの情報も自治会に集まりやすいという点も挙げられます。

近年、大型台風や地震といった自然災害で被災した際も、自治会が中心となって支援物資配給や避難のサポートを行い、その役割が見直されたとのニュースも報道されていました。

このように、自治会に加入しておくと安心感を得られる面はあります。


※行政からの支援やサービスは、自治会未加入だと受けられないということではありません。

 

デメリット

集会や活動参加に時間をとられる

これが一番大きな懸念となることが多いでしょう。

各行事には「任意参加でOK」ということであれば、負担の問題は小さいかもしれませんが、これも各自治会によって大きく異なります。

もし役員を務めなければならない場合は、定例の役員会に加えて、各行事の運営も必要でかなり大変です。

私が以前参加していた自治会では、毎月大きな行事があり、常に何かの対応をしていた気がします。

独自の行事に加えて、市(地域)のイベントへの参加も数多くあります。お祭りの警備、スポーツ大会や防災訓練、緑化運動への参加などなど…

また、役所への補助金申請、自治会館の設備(照明など)メンテナンスといった仕事もあります。

 

歴史のある自治会だと、自分の一存で運営を変えることも難しいのが実情です。

 

自治会費を徴収される

大体月に数百円くらいが多いようですが、地域によってバラつきがあります。

地域によっては、お祭りなどの地域行事に多額の費用がかかるので、自治会費も高くなる場合があるようです。

決算報告もされず、徴収された自治会費が何に使われているか分からないままになっているところもあると聞きます。

 

自治会(町内会)の実態は役所の出先機関!?

自治会の役員になると大変だと述べましたが、その一因となっていることを少しお話しようと思います。

それは、自治会は実態として役所の出先機関としての役割を担わされているという点です。


すにで述べた通り、自治会・町内会はあくまでも任意の団体であり、加入はあくまでも各人の自由ですが、各自治体は自治会の形成や加入を呼びかけています。

その表向きの理由は大体以下のようなものです。

「行政が地域の情報やニーズを的確に把握することが難しい。自治会(町内会)には各地域住民と日常接する立場として、行政と住民の橋渡しをしてほしい」

「自治会を通して、地域住民同士の交流を促進してほしい」


これを聞くともっともなように聞こえますが…
実際のところ、役所は自治会にさまざまな行政サービスを肩代わりしてもらうことを期待しているのです。

役所から各自治会には実にさまざまな依頼がきます。

すでに述べた各種イベントへの参加要請に加え、国勢調査員、選挙立会人(私自身2回やりました)、民生委員の選出、災害時要援護者の名簿作成、募金への協力、広報誌やお知らせの配布・掲示など…

まさに、役所の出先機関といった感じで、自治会の役員が忙しくなる要因でもあります。

そもそも、自治会には全世帯が加入しているわけではないのですから、地域の代表のような扱いをされるのは、考えてみるとおかしなことです。
一方で、行政コストの制約や高齢者の増加もあり、役所としては他に頼れるところがないというのが実情と思われます。

従って、

自治会員になる →自治会の役員になる →役所からのさまざまな依頼に対応が必要(多忙になる)

という可能性があることに留意しましょう。


余談ですが…
近年、自治会への加入率が低下している状況について、新聞などでも問題ととらえる論調が主流ですが、それはあくまでも役所や一部団体の関係者の都合と感じます。

特に都市部では、今後ますます近所付き合いが減り、外国人居住者も増えていくでしょうから、加入率が下がり続けるのは仕方がないことです。

 

まとめ - 自分にとって何を優先するかを考え、加入するかどうかを決めよう

すでに述べましたが、私は現在、自治会には加入していません。

自分自身のことは自分で決めて、自分の思う通りにしたい気持ちがあるからです。自力で何とかできない場合もあるかもしれませんが、それはそれで仕方がないと達観しています。

 

ただ、地域によっては自治会で活動することで生活基盤が成り立っている場合もあり、実質加入せざるを得ないというケースもあるでしょう。

また、もし自分が地域の役に立ちたいという気持ちがあれば、積極的に参加してみるのもよいかもしれません。例えば、定年後、リタイア後に空いた時間を使って役員をやってみるというのもよいかもしれません。

一方、災害時には心強いつながりとなりますので、近くに頼れる身内もいないという場合には、自治会に加入しておくのもよいかと思います。その場合、助けてもらうケースだけでなく、自分が何か貢献できることがないかも考える必要があります。

あくまでも、自治会は「助け合い」であることを理解して、加入要否を検討することをおすすめします。

 

*なお、災害に対する備えとしては、以下の記事を参考にどうぞ。

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