定年延長や再雇用・再就職に向けて50代から心がけたいこと【実例あり】 

いわゆる「70歳定年法」が通常国会に提出される予定です。

「高年齢者雇用安定法」の改正案で、企業に70歳まで(努力目標)の就業機会確保へ努力義務を課すもので、再就職の実現、起業支援についても盛り込まれています。

こうした政府の後押しや人出不足が続く状況から、定年後も働き続ける人は間違いなく増加していくでしょう。

そんな中、多くの会社員には50歳から60歳までの間に大きな状況の変化が起こります。

例えば、役職定年にともなって部下がいなくなる、年下が上司となる、役職手当がなくなることで手当てが減る…そうした事態が起こりえます。

それとともに、
「今まで何人もの部下を抱えていた自分が一介のプレーヤーになってしまうなんて…」
「かつて指導した部下が、逆に自分の上司になるとは…」
など、心がざわつくこともあるかもしれません。

そこで今回は、これから定年を迎える人、すでに定年を迎えた人に向けて、嘱託、再就職などの形態にかかわらず、仕事を続ける場合に心がけるべき点について、心・技・体に分けて述べたいと思います。

 - 定年前後で大事になる心構えとは

心  - 定年前後で大事になる心構えとは

自分の役職や境遇が大きく変わることにネガティブな思いを抱いてしまう人もいることでしょう。

そうした思いを完全に振り払うのは難しいかもしれませんが、あらためて前向きな気持ちを持てるかどうかが大きなポイントです。

では、具体的にどのようなことを心がけるべきかを挙げてみます。

小さなことでもよいので、積極的に新しいことを習得する

まずは小さいことでも構いませんので、ぜひ新しいことに挑戦してみましょう

例えば、チーム内で課題になっていることを解決するために、具体的なソリューション(ソフトウェア)導入を検討するといったこともおすすめです。

チームで課題と認識されているが、なかなか手が回らない…そういったものが狙い目です。

予算を使えない場合には、無料版(公式なものがない場合には営業担当に交渉してみる)を利用して評価したり、何種類かのソリューション候補を調査して評価一覧にまとめるといったことでもよいでしょう。

また、詳しくは次の「技」の章でも触れますが、業務に生かせるちょっとした分野を勉強してみるのもよいでしょう。

周囲のメンバーのメンター的な存在になる

周囲のメンバーのメンター的な存在になる

周囲から相談を受ける助言者のような存在になることが望まれます。

「そうは言っても、どうすれば周囲からそのような存在として認めてもらえるの?」
との疑問を持つかもしれません。

メンター的な存在となるためのよい方法は、自分のスキルや経験を周囲のメンバーに伝えて、成長を促すこと、さらにチーム全体のレベル底上げにつなげることです。

周囲からの信頼度も増し、良好な関係を保つことにもつながりますが、利点はそれだけではありません。

通常、マネージャーは特定のメンバーに業務を依存することをリスクと考えています。また、チーム全体のレベルアップを図りたいと考えているものですが、手が回らなかったり、どのように進めるべきか悩んでいるといったことが多いのです。

そこを経験豊かなあなたがカバーするのです。

「自分だけの知識やスキルを抱え込んでいた方が、人材としての価値が上がって、評価されるのでは?」
と考える人もいるかもしれませんが、おすすめできません。

協調性のない人物とみなされる懸念がありますし、チームのためにあなたの経験が買われていると考えるべきで、全体に目くばりする姿勢をぜひ持ちましょう。

自分から教える姿勢をみせることで、逆に周りの人からも教えてもらうことも期待でき、自分の成長にもつながるのです。

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 - 常にスキルを磨く姿勢を

技 - 常にスキルを磨く姿勢を

人生100年時代とも言われる今日、これまで培ってきた知識やスキルが時代遅れのものになるリスクは否定できません。

そのため、定年前後でも継続してアップデートを図る姿勢が不可欠です。その際、全く未知の分野ではなく、これまでの経験が活かせて、かつ業務に関係するものを選ぶのがよいでしょう。

他のメンバーから相談される強みをもつことが当面目指すレベルの目安になります。

 

では、ここで具体例として、50歳を目前にした私が最近取り組んでいることについてお話したいと思います。

私の取り組み① -  ウェブマーケティング・ウェブ解析を習得

私は、長年IT部門でシステム開発に携わってきたのですが、この2~3年ほどはマーケティング部門で会社の公式ウェブサイトの開発・運営に関わっています。

ウェブサイトとシステム開発はとても親和性が高く、お互い切り離せない領域ですが、特にウェブサイトは営業やマーケティング施策に直接関わるものが多いのです。

そこで、ウェブマーケティングやウェブ解析に本格的に取り組むべく、自主的に勉強することにしました。

自分の考えたウェブ施策の結果をかなり正確に把握できる面白さに気づき、ウェブ解析の資格も取得。

また、SEO対策やGoogleアナリティクス、Googleサーチコンソール、Googleタグマネージャーといったツールによる調査や設定も自分でできるようにしました。

実は、以前までツールを使った実務は課内の若手にすべてお願いしていたのですが、簡単なことでもいちいち依頼するのはお互い手間ですし、自分で試行錯誤しながら試したいこともあるので、習得に努めることにしたのです。

一昔前であれば、外部研修に行くなど、時間とお金をかけていたところですが、今はネット上で役立つサイトや動画が多数ありますので、それを参考にしながら実際に操作していけばすぐ覚えられます。

基本的なことを押さえたら、あとは実際に業務で使って反復利用あるのみです!

今の世の中、やる気さえあればスキルアップのための方法はいくらでもあるのですから、
「興味があるなら試してみればよいし、現状に不安や不満があるなら行動を起こせばいいじゃないか」
とつくづく思います。

 

私の取り組み② ‐ ウェブライティングにも挑戦!

さらに、新たな試みとして、ウェブサイトのコンテンツを企画し、そのライティングも自分で行うようになりました。

当初はプロのライターにコンテンツ(記事)作成をお願いしていたのですが、あまりこちらの期待する内容にならないことも多く、

「これなら自分で書いた方が早いのでは…? ファイナンシャルプランナー&中小企業診断士だし…」

と思い立ち、時々ライティングも行うようになったのです。

システム開発をしていた時には考えられなかった業務ですが、始めてみると実に面白く、自分の意外な志向に気づくことができました。

今では、自分のアウトプット能力を磨く大事な機会にもなっています。

 

老後に向けても「教育は最高の投資」「能力は最高の財産」

老後に向けても「教育は最高の投資」「能力は最高の財産」

魚を与えるよりも釣り針を与えるほうがよい。釣り針を与えるよりも、釣り針の作り方を教えるほうがよい。

以前、中国に上記のようなことわざがあると聞いたことがあります。

このことわざ、教育の大切さをとても分かりやすく表現していると思うのです。

「釣り針の作り方」さえ知っていれば、魚を全て食べ尽くしても、釣り針が無くなっても、食料に困る心配はない訳です。

このことから、どんな人にとっても最高の投資は教育であり、教育を通じて得られる能力が最高の財産になると言えるでしょう。

能力は誰にも奪われることがなく、それをもとにさらにレベルアップ(上記のことわざで言えば、より大型魚用の釣り針に改良する等)を図ることもできます。

なお、せっかく身につけた能力も時代の変化とともに陳腐化して役に立たなくなる可能性はあります。

その点、読解力や論理的思考力といったものはどんな時にもベースとなるので、色あせることはありません。その意味で、若い時に国語や英語、数学といった基礎学力をしっかり身につけるのは合理性があるといえるでしょう。

少し話が逸れましたが、定年前後の世代の人も、このことわざをしっかり胸に刻む必要があると考えます。

どんなに老後に向けて資産運用に励んだとしても、使い切ってしまえば(魚を食べ切ってしまえば)無くなります。

また、不動産などの富を生み出す資産(釣り針)があったとしても、何かの事故や災害で無価値になってしまう可能性はゼロではありません。

そんな事態になって窮地に陥ることがないように、ぜひ自分なりの「釣り針」をもち、錆びつかないようにアップデートを図っていきましょう。

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 - 健康と体力の維持に努めるべし

「体が資本」という言葉はすべての人に当てはまります。

あなたが体調不良で仕事を休まざるをえなくなった時、大抵の職場の人たちは「お大事に」と優しい一言をかけてくれるでしょう。ただ、どんな理由であれ、急な欠勤は周囲に迷惑をかけることを認識しなければなりません。

まして、欠勤が頻繁に続くとさらに問題が大きくなってしまいます。

本来あなたがするべき業務を、緊急で誰かが対応しなければならなくなるというケースも発生するはずです。引継ぎのないまま、本来担当外の業務をカバーするのはかなりの負担になります。

多少であれば、周囲の人も「体調不良の時はお互い様だから」と大目にみてくれるでしょうが、一方的にあなたの欠勤が多くなると「たとえ年配とはいえ、こんなに急に休まれると、正直迷惑なんだけど…」と不満を抱える人も出てきてしまいます。

 

老後も健康でいるために – 比較的コントロールしやすいのは食生活

体 - 健康と体力の維持に努めるべし

では、具体的に健康維持に効果的なこととして何が思い浮かぶでしょうか。

「適度な運動」「十分な睡眠」も当然挙げられますが、比較的自分の意志でコントロールしやすいものは「食生活の改善」ではないでしょうか。

 

参考までに、40歳を過ぎてから私が個人的に心がけていることを以下に挙げてみます。

食べ過ぎない(カロリーを取り過ぎない)

空腹の方が、「長寿遺伝子」「若返り遺伝子」とも呼ばれるサーチュイン遺伝子が活性化すると言う話はよく知られています。

腹七分目の食生活を続ければ健康寿命を延ばせることが分かってきました。日々の摂取カロリーを25%ほど減らすと、眠っていたサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)が活性化し、さまざまな老化要因を抑えてくれるのです。

金沢医科大学 教えて!ドクター第4回「腹七分目で若返ろう  カロリー制限が長寿遺伝子活性化」より引用

 

年をとるにつれ、胃腸など消化の力も弱くなっています。内臓に負担をかけないためにも、「腹七分目」」を目指すくらいがちょうどよいと感じています。

個人的には、40代になってから、食べ過ぎた時に膨満感で胃が苦しくなるのが嫌だなと思うようになり、炭水化物はたくさん摂らないようしています。夕食時だと、普通のご飯茶碗3分の1程度しか食べません。

現在は身長170㎝で体重は53㎏と、やせ型ではありますが、すこぶる健康です。
(ただし、下腹は少しポッコリ出ていて、なかなか引っ込みません…)

午前中や夕方はかなりの空腹を感じ、お腹がグーっとなることも多いのですが、そんな時は
「しめしめ、今自分の体は長寿遺伝子が働いていて、より健康体になりつつある!」
と思うようにしています。(笑)

 

食の楽しみを放棄することはありませんが、40歳を過ぎたら量ではなく質を求めるのがよいのではないでしょうか。つまり、良質のものを少量だけという考え方です。

余分なカロリー摂取にお金を使い、ダイエットにもお金を使って…となると経済的な面でもマイナスですし。

 

「まごわやさしい」を実践

よく言われる「まごわやさしい」を中心とした食生活を実践するのもおすすめです。

私は料理が趣味の一つで、週末の献立は自分で決めるので、以下の食材を多めに使うように心がけています。

 ま:まめ 豆製品(納豆・味噌・豆腐など)
 ご:ごま ごま、ナッツ類
 わ:わかめ 海藻類(わかめ、昆布、もずく、ひじき、のりなど)
 や:やさい 野菜
 さ:さかな 魚介類
 し:しいたけ きのこ類(しめじ、まいたけ、エリンギ、えのきなど)
 い:いも イモ類(ジャガイモ、サトイモ、山芋など)

 

ゆっくり時間をかけて食べる、場合によっては、食べる途中で間を置くというのもよいでしょう。

野菜から先に食べるだけでも、消化・吸収がゆっくりと進み、胃腸への負担を下げるとともに、少ない量で満腹感を得やすくなると感じています。

いかに健康と体力を維持しながら、低下を緩やかにするかを考える

どうしても老齢になるほど体力が衰えるのは避けられませんので、いかに体力低下を緩やかにするかを考えるのが現実的と言えます。

体に負担がかかる仕事の場合、いつまで続けることができるか、現実的にきちんと考えた方がよいかもしれません。どこかのタイミングで別の種類の仕事に切り替えることも検討し、必要であればそのための準備もしていきましょう。

なお、喫煙の習慣がある人は以下の記事をぜひ読んでみてください。

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まとめ - 「変われる」ことが「買われること」につながる

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上に述べた心・技・体はそれぞれ密接に結びついているので、どれが欠けても不十分です。

一方、この3つが高いレベルになると大きな相乗効果が生まれます。

大切なことは、よいと思えること、新しいことを試してみる柔軟性であり、人生どのステージでも「変われること」が、自分という人材が評価されること、つまり「買われること」につながると理解するとよいでしょう。

官邸主催の人生100年時代構想会議の中間報告では、以下のように述べられています。

100年という長い期間をより充実したものにするためには、幼児教育から小・中・高等学校教育、大学教育、更には社会人の学び直しに至るまで、生涯にわたる学習が重要です。 

※人生100年時代構想会議中間報告より引用

 

また、厚生労働省のウェブサイトでも以下のようにあります。

労働者が何歳になっても必要な能力・スキルを身につけることができるよう、リカレント教育機会の拡充に取り組んでいます。

※厚生労働省ウェブサイト 「『人生100年時代』に向けて」より引用

 

まさにこのリカレント教育を実践しながら、心・技・体を磨いていきましょう。

らおd